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ひがし茶屋街を訪れた観光客ら=2024年4月27日午後0時43分、金沢市、金居達朗撮影

 北陸新幹線の長野―金沢間が2015年3月に開業してから、14日で10周年を迎えた。この10年で最も大きい変化の一つが、外国人観光客の数だ。観光庁によると、昨年の石川県の外国人延べ宿泊者数は過去最多の約228万人(速報値)。前年の約2・2倍に増えた。その中心地・金沢は、伝統とアートが融合する国際観光都市へと様変わりしている。

 金沢城跡や香林坊を外国人観光客がそぞろ歩く。聞こえてくるのは、英語や中国語、韓国語だけでない。スペイン語やタイ語、ヒンディー語も珍しくなくなった。

 観光の目玉である庭園「兼六園」の入園者数は、能登半島地震に見舞われた24年も約235万人(前年比92%)。その2割強を外国人が占める。

 石川県によると、開業前の14年に約2161万人だった県への観光入り込み数(推計値)は、コロナ前の19年に約2489万人に。コロナ禍による落ち込みを経て、23年には開業前と同水準の約2153万人まで戻した。この10年で日本人客が減る一方、その減少分をそっくり外国人客が補っている形だ。

 県国際観光課の担当者は「これまで東京から名古屋経由で来ていた外国人が、新幹線開業後は直接金沢に入るようになった」とみる。「京都や大阪へ向かう途中に金沢に立ち寄る『ゴールデンルート』ができている」という。

 最近では、特定の場所に観光客が密集する「オーバーツーリズム」の懸念も出始めた。「客が多くて店に入れない『夕食難民』がいる」「ホテルの部屋から香水のにおいが取れない」。1月末、石川県庁で外国人客の増加に伴う課題を話し合う会議があり、関係者から悩みの声が噴出した。

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